すでにご存じの方も多いと思いますが、
3月のNZ旅行の時に撮影した、ガム星雲の作品が
天文ガイド6月号の最優秀作品賞を受賞しました!


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汚い写真ですみません。

どうもいーぐるさんとNikon1957さんにはバレていたみたいですし、GENTAさんも気づいていたような…
sakumaくんと5Dくんにはバラしましたが、どこから情報がリークされたのでしょうかねぇ。

ようやく旭川で手に入りましたので、ヤンマーからアップします(笑)

まあ、それはさておき、手記は私の生い立ち的な感じでまとめてみました。
手法に関してはほんまかさんの丸パクリですので
特に書くことはなかったです。

前回この画像を投稿した時にはわざと何も書きませんでしたが、今回はぐちゃぐちゃ書きます
黙っていようかな、と思っていたのですが、我慢できないもので。

1.対象と構図に関して
実はあまりに忙しく、どこを撮影するかは決めていなかったです。

現地に到着して、5DくんのPCにあった画像を見つつ話していると、出発前日に1枚だけ売っていた
SC-64フィルタもあることだし、赤いもの、で、中々日本から撮影できないものということで
ガムなんでどうだろう?という話になりました。

ちょうど彼のPCには冷却CCD+50㎜レンズ?で撮影した画像があり、モザイク込みだと
ほぼ同じ構図になってくれそうですのでステナビで構図を決定しました。

実際の作品では入っていないですが、実はもう少し左に広い構図で、カノープスが入っているんですよね。
ただ、SC-64フィルタでのゴーストが酷いのと、赤い星雲はほとんど写っていなかったので切ってしまいました。
逆に右側は少しはみ出してしまいました。もう少し右に振った方が良かったですね。

2.撮影手法に関して
今回は85㎜レンズを使い、通常の画像だけでなく、SC-64フィルタを使ったHα撮影を行っています。
具体的には、ノーマル(フィルターなしのカットのこと)を
F4.0、ISO1600で5分露光のカットを10カット、さらにHα(SC-64フィルター使用したカットです)をF2.2、
ISO1600で5分露光のカットを6枚撮影しました。

なぜISO1600にしたかというと、ダークを共通化したかったからです。
結果的にはF2.2まで絞りを開けることになってしまい、S/Nは高感度で撮影した物よりも上がったかも
しれませんが、シャープさがスポイルされてしまい、あまりノーマルと変わらないのでは?
というくらいになってしまいました。

SC-64フィルタを使ったのは単純にR64のφ62を持っていないからで(φ52は持っています)、
平坦性や夜露の降りやすさで苦労しました。フードが付けれないんですよね…

また、今回はこの(ノーマル+Hα)を9コマモザイク
しています。

撮影方法としてはノーマルとHαを交互に撮影するか、
先にノーマルかHαを撮影してしまう方法が考えられます。

もちろん後者の方が簡単ではあるのですが、構図の再現性が出る自信がなかったのと、ずれていた場合
ノーマルとHαで星の大きさが違い、収差の出方も異なるため、大きく位置が外れていると上手く合わない
可能性があるので、今回は前者の交互に撮影する手法を選択しました。

ピント移動に関しては、毎回毎回合わせなおしています。
しかも、本来ならノーマル→Hα→構図移動→Hα→ノーマル→構図移動と9回合わせなおせばいいのですが、
1日目の撮影でSC-64フィルタが極端に結露しやすいことが分かったので
(ヒーター入れても結露していました)、ノーマル→Hα→構図移動→ノーマル→Hαと毎回毎回
合わせなおし、SC-64フィルタは使用していないときは車の中に放置し乾燥するという手法を取りました。

そのおかげで、後半は早めにヒーターを入れたこともありフィルターの結露に悩まされることはなかったです。

結局、夜露や雲のせいもあり、トータル12時間の露光時間を稼ぐのに4晩も掛かってしまいました。

3.処理について
普段はモザイクしてから処理をするのですが、今回は先にモザイクしてしまうとPCに負荷がかかりすぎるのと、
LとRGBで位置がうまく合わなくなってしまいますので、先に強調処理とLRGB化を行いました。

これはほんまかさんの手法そのままで、
L成分はノーマル:Hα=3:2で混合し、HαはRGBには加算せず、ノーマルのRGBのみで色情報を得ています。

ただ、このままだとHαの部分の輝度が高すぎ、彩度が低すぎるため、チャンネル減算マスクを用いて
RGBフレームの赤を強調しつつ、彩度を思い切り上げた後にLRGB合成しています。

最初はSIでのLRGB化をしようと思っていたのですが、中にはHαとノーマルで写野の回転がある画像があり、
さらに周辺部の星の位置が違う画像がありうまく合ってくれませんでした。

そこで、PSのレイヤーを自動整列コマンドを使って大まかな位置を合わせ、それでも合わない箇所は
ワープツールで合わせこみました。

LRGB化が終了した9コマをPhotomargeで合わせようとしましたが予想通りうまくいきません。
そこで、1枚ずつ、1+2、(1+2)+3、(1+2+3)+4というように繋ぎ合わせていったところ
何とか合ってくれました。

とりあえず位置のみを合わせ、色むらを取り去ったのちに
レイヤーを自動合成→シームレスなトーンとカラーで全ての画像を合成し、ここでほぼ完成としました。

後は部分的な色むら補正を行い、多少のコントラストと
色調整を行って終了としました。

撮影も大変でしたが、処理にはそれ以上に時間が掛かっています。

4.撮影と処理を終えて感じたこと

正直もう二度とやりたくないですね(笑)
あまりに手間が掛かり過ぎます。ある意味晴れが担保されている
長期間のNZ遠征だから出来たわけで、天候が全く安定せず
日によって透明度やカブリの度合いが違う日本では9コマは
相当つらいと思います。

撮影中も「何でテカポまで来てこんな面倒なことをやっているんだろう」
という自問自答を繰り返しながら(実際に声にも出していました)
撮影していました。
まあ、素直に楽しむなら広角での一枚撮り、
クオリティ追求ならフルサイズ+広角レンズが一番簡単で
いい作品が出来ると思います。

特に苦労したのがピントで、Nikon機の場合多かれ少なかれ
偽色が発生します。

ピント位置によって、マゼンタ寄りになるかシアン寄りになるかどちらかですが、
以前のオリオン座モザイクの際にピントを弄ったところ1枚だけ
マゼンタになってしまい、後程の処理でめちゃくちゃ苦労しました。

今回もシアンに寄せたつもりでしたが、画面右側の7-9カット目のみマゼンタ
に寄ってしまい、大変苦労しました。

ピント位置については再現性が出るように工夫が必要ですね。
バーニアが簡単ですが、レンズによっては温度によってピント位置が変化するため
そう単純ではありません。

そういった意味では、キャノン機の方が星の色が安定していますから
(恐らくRAWの段階で全て色を吹き飛ばしているのでしょう、明らかにピクセル以下に
微光星が収束していてもほぼ無色です)
モザイクにはキャノンの方がいいと思います。

そして、最も強く感じたことは、

「機材よりも星空だ」
ということです。
アンタレス付近を撮影した時も感じましたが、手持ちのしょぼい機材でも
十分なクオリティの作品が出来るんですよね。

今回に関しても、別に手持ちの機材が安価だという点に関しては
はっきり言ってどうでもいいです。
手記に書くつもりもなかったですし、強調する意味もないでしょう。
高価な機材でも、何でもいいんですよ。
私には、手持ちの機材で十分ですし。

ただ、その分、最高の星空をおごっています。
さらに12時間も露光し、9コマもモザイクすれば
このくらいにはなるということです。

逆に考えれば、皆様がどれだけ日本の空で頑張っておられるか、
そして、日本の空がどれだけ明るく、曇りやすく、透明度が悪いのか
ということでもあります。

5.学生さんに向けてのメッセージ

学生のうちに30万の機材を買うくらいなら
手持ちの機材でテカポ行った方がよっぽど有意義だと思います。

社会人になれば、機材なんていくらでも買えますからね。

時間が無いという人もいるかもしれませんが、
私も正直NZなんて行っていられるような状況ではなかったですが
無理やり時間を作りました。

その分、研究室の方々にはとてつもない迷惑を掛けましたが
社会人になったら、仕事をやめない限りは
無理ですからね…

学生時代の時間は貴重です。
言い過ぎかもしれませんが、親に借金してでもいいので、南半球の空に会いに行ってみてください。

ニュージーはちと高いですが、エアーズロックならもう少しお安く行けますよ。
必ず、あなたを満足させる星空が待っています。

天文が趣味というのなら、一度は見ていないと
いけないものだと思います。

他にも素晴らしい天文現象はたくさんありますが、
オーロラのように運任せではなく、まず間違いなく
出会えますからね。


長文失礼しました。

学生時代最後の旅行で、狙って最優秀を頂けたことは
価値があると思っております。大変自信になりました。
一応学生時代に撮影したので、学生時代に頂いたとしていいのかな、と。
そういった意味でも私の中では嬉しいことです。
今年度の目標も1つはこれで達成できたことになりますね。

本文中にも書きましたが、旅行について来てくれたsakumaくんと5Dくんを初めとした
サークルのみんな、そして北海道の天文ファンの皆さん、
本州の天文ファンの皆さん、特にほんまか師匠にはお世話になりました。
(お名前勝手に出してしまってすみません)

そして、今までの長い長い学生生活を支えてくれた家族に
この最優秀を捧げようと思います。
(後で写真とともに天文ガイドを送ろうと思っています)
どうも有り難うございました。

おまけ
レモン彗星も載せて頂けました。

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星ナビは残念ながら落選でしたが、もちろん大満足です。