昨日日本に帰ってきました。
幸い朝着のフライトだったため、台風の影響を受けずに帰ってくることが出来ました。
関東地方は台風の雲の影響を受け、ほぼ撮影できなかったと思います。
私は機内でしたので、「ほぼ」皆既の月を撮影することが出来ました。
以下、撮影の顛末を書いてみます。

7月某日
マンチェスター滞在もあと1週間。
そろそろ帰国について考えなければなあと思いつつ、ネットサーフィンしていると
「7月28日 皆既月食」の文字が。

そういえばフライトは7/27.
ちぇー今回は見えないのかーと独り言。

その瞬間、
「!」
「もしかして、これは機内でみられるのでは?」

フライトはJL414便、ヘルシンキを27日1725出発し、成田へ朝0855に到着予定。
どこかで皆既月食に出会う可能性があります。

勢い立ち上がり、パソコンを引っ張り出し、ステナビ様にお伺いを。
ついでにフライト追跡サイトを立ち上げ。ざっくりではありますがどこをいつ飛んでいるかわかります。

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これを見ると、経路としてはヘルシンキを出発後すぐにロシア上空へ、
その後はずっとシベリア上空を飛び続け、日本海を飛んで成田へのルート。

時差やら座標の変化やらでかなりややこしく、完全には再現できなかったのですが
下記のことがわかりました。

・フライトはほぼ真東に向かって飛ぶ
 →進行方向右側の座席に座ればみられる可能性が高い
 →時間に順行するので、月食の継続時間的に不利

・月食が起こるのはシベリア上空、北緯67~63度くらい
 →月の南中高度は極端に低く、南中したとしても地平線すれすれ
 →白夜ではないが、完全に空が暗くなることはない

・月食が起こるのは日本時間03じくらいから、皆既になるのは04時過ぎ
 →高緯度なことも災いし、空はかなり明るくなっていると予想される

しばらくステナビのアニメーション機能を駆使してごちゃごちゃやっていましたが、
条件はかなり厳しそうです。

とはいえ、雲の影響はほぼ受けないですから、低空でもなんとかなる可能性が高いです。
シベリア上空、白夜に近い空に浮かぶ赤い月というのもなんだかコーフンしますし!

今回はこんなことになると思っていなかったので、
E-M5、14-42㎜のお気軽セットしか持ってきていません。本当はD810Aを使いたいところですが、
機内ということを考えるとありかもしれません

そういえば、と思ってチケットを確認すると、予想通り通路側でした。
この計画は進行方向右側の窓側席でないととん挫します。
JALのサイトを開くと、幸運にも一席だけ空席が!

ただ、懸念事項が、
翼が真横にある席でした。
ステナビと追跡ログをにらめっこしますが、どうにかなりそうな、そうでもないような。

皆既に近づけば近づくほど翼に隠されそうな気もします。
とはいえほかに選択肢もないので、今できることとして、バッテリーを充電して床に就きました。

7/27
朝8時過ぎにマンチェスター発。
空港までは順調でしたが、航空会社のカウンターがわからずに冷や汗。
係員さんに聞いてようやくわかりましたが…

フライトは順調にヘルシンキ・ヴァンター国際空港へ。
5分ほど遅れましたが、ほぼ定刻に到着。

しばらくは空港でのんびりと。一部のフライトは欠航しているようですが
私のフライトは大丈夫だったようで。

そろそろ出発、意を決して並んでいると、
このフライトはフィンエアーで、JALは51-Aのゲートですね。こちらを真っすぐいったところです
と言われました。

行きはフィンエアーとの共同運航便だったので、まさか全く同じ時間に全く同じ場所への
別フライトがあると思わずターミナル内を大急ぎで移動。
かなりぎりぎりにはなってしまいましたが何とか間に合いました。
ゲートがそこまで離れていなかったので助かりました。

本番を前にしてだいぶ疲れましたが、JL414便は定刻少し前にヘルシンキを後に。
フィンランドは良いお天気、ここで見るというのも悪くなさそうです。
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現象が起こるのはしばらく先なので、落ち着いて腹ごしらえ。
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食事後にふと外を見ると、月が昇ってきていました。
雲海の上にぽっかりと、まばゆいばかりの光を放ち浮かぶ月。
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いやー写真では全然伝わらないですね…
薄明に染まる空、薄明かりの中のシベリアの景色、とても感動的な景色だったんですけれど。。。

とりあえず、全然見られないということはなさそうですね。
ほっとしていたのもつかの間、一気に画面が暗くなってきました。
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まあ月は見えるんですが、欠けて暗くなってきたらかなり厳しそうです。。
それにしてもこんなに一気に暗くなるもんか?
原因は窓の暗さが自動で暗くなったためでした。使用機材のB787は、ボタンで明るさを調節できる
ようになっています。食事後ということで暗くなったみたいですね。

予想通り、いったん空は暗くなりましたが完全に暗くなることはなく。
まー何も見られないということはなさそうですね。ほっと一息。

肉眼ではかなり早い段階から月食が始まったことがわかります。
ただ、いかんせん焦点距離が短く、全然欠けているのがわからず。。。

しかも二重窓ガラス、どうも二層あるらしく月が4つに分離してしまいます。
月が明るすぎて翼とのバランスが難しい…
まあこれも飛行機の中ならではという気もしますけれど。
こうなったら分離した月のほうに露光を合わせます。
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だんだん月が欠けてくると、翼との距離も減ってきます。
空は少しずつ明るくなってきました。
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8割くらいかけたでしょうか、もうそろそろ限界・・・
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欠けた部分も見えていますが、空の明るさが明るくぎりぎり…
これがとりあえずは一番ですかねぇ。
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皆既直前で万事休す。もう少し細い月が見えればと思いましたが、これだけは仕方ないですね。
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その後月が見られることはなく。
朝焼けはとても美しかったですね、シベリアの川が眼下に広がっています。
たぶん右中央の白い点は同時刻に飛んでいたフィンエアーでしょう。
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機内での「ほぼ」皆既月食、成功ってことにしておきましょうかね。
実は2つか3つ前の座席は空いていたので、直前に確認すればもしかしたら変更できたかもしれません。
たらればは禁物ですが、もしかしたら皆既の月が見えていたかと思うとちょっと心残りですね。

計画を練り、機内という限られた条件で撮影にチャレンジする。
久々に血沸き肉躍る撮影となりました。
やっぱり天文写真はこうでないといけませんね~
ちょっとモチベーションが上がった撮影でした。