Shooting Stars - 北海道の星空の元で

天体写真を中心としたブログです。

2020年05月

イギリスでの天体写真 その2(終)

もう半年以上、昨年のことですが、イギリスに行った話を記事にしました。
私自身も忘却の彼方ですが、前回の記事はこちら。


天気も悪く暇ですし、少しでも海外気分を味わっていただきたいと思い、続きの記事を書いてみます。





前回「Clerk Laithe Lodge」へ行ったと記事にしました。
ここは私が滞在していたマンチェスターから電車で2時間ほど。

とりあえずBooking.comから予約し、ホテルへメールしたところ
最寄りのClitheroe駅へ迎え?が来るとのこと。

うーん、不安しかないですが、まあ行くしかないでしょう。
車さえつかえればいいんですが…


ルートはこちら、Clitheroeまでは電車で1回乗り換え。
ルート


まずはピカデリー駅へ(写真撮り忘れ)。
予定していた列車が激混みで遅れているようで…
P_20190823_161755


次の列車への乗り換え時間が短かったので、乗り遅れないか冷や汗ものでした。
1時間に1本しかないので、乗り遅れたら大変です。
運良く?乗り換える列車が遅れてくれたので、何とか間に合いました。
P_20190823_165511


しばらくは街中ですが、どんどんイギリスらしい風景に。
ヒツジや馬が多かったですね。
P_20190823_174935


Clitheroe駅にはちょっと遅れて到着。
待ち合わせ時間から遅れてしまったので急いで降りたせいもあるのですが、座席に三脚を置き忘れてしまいましたorz

駅から出て少ししてから気づいたんですよね…
電車は直ぐに折り返してしまい、もう駅から出発していました。

せっかく星を見に行ったのにダメージは大きいですが、すぐには戻ってこないでしょう。
待たせているので諦めて迎えを探します。


しかし、それらしき車がいない!
小さい駅なので駐車場は2か所しかないのですが、場所がわからず。
ロッジに電話すると、もう迎えに行っているとのこと。

しばらくうろうろしていると、ようやくそれらしきタクシーを発見。
ふぅ、とりあえずは一安心です。


Clitheroeから約20分ほど、ロッジへ到着。
外観はこんな感じ。
_DSC5526


ロッジはご年配のご主人と奥様がやっているようで。
まあ電話ではあんまり英語も通じず、怪しく思ったんでしょうね。
開口一番、ご主人のほうが「一体全体、何でここに来たんだい?」と。

もちろん力強く「星を見に来た」と答えましたが、ちょっと警戒している感じでした(特に奥さんが)。
まあ、いきなり来た怪しい日本人、無理もないでしょうね…


一通りの手続を済ませ、客室へ。
_DSC5523

本来は2人用ですが、十分な広さ。
窓からはこんな景色が。
_DSC5524


いかにもイギリス!という素晴らしい景色
Windyでは段々曇ってくるはずですが、多少は星が見られそうです。

三脚は忘れてしまいましたが、回転装置と雲台、アルカプレートはあるので、
地面に置いたり、窓枠に置いたりすれば何とか撮影はできそうです。


星が撮影できるまでに時間があるので、周囲を散策。
いかにもイギリスという風景が広がります。
_DSC5531


せっかくの風景ですし、ちょっとお遊び。
_DSC5534


とりあえずロッジに戻り、日暮れを待ちます。
暗くなったころには天気は曇ったり晴れたり、あまりすっきりとは晴れてくれず…
ロッジの隣の牧場へ。
_DSC5546

この時はまあ月あかりもあり、そこまで空は暗くないですねぇ。
すっきりとは晴れませんが、撮影自体は可能でした。
一度戻ってロッジから。
_DSC5553


長時間露光で狙ってみました。
霧がかかっているのは雰囲気あるかなぁと。
_DSC5577


牧場へもう一回。北極星が高いですねぇ。
_DSC5567


ガスが広がってきますが、逆にイギリスらしくていいかなぁと。
_DSC5599


車通りもなく、本当に静かな町。
月没後も空はあまり暗くなかったですが、逆に人の暮らしを感じるというか、
何だかほっとするというか。北海道やニュージーランドとは違いますが、存分に星空を楽しみました。
本当は朝焼けも見たいところですが、流石に眠くなりロッジで就寝。



朝はこれぞ、というイングリッシュブレークファースト
ご主人がパン(写っていませんが)とソーセージを焼いてくれました。
_DSC5619
まさに心づくしの食事といった感じで、本当に美味しかったですね。
ある意味イギリスで一番食べたかった食事かもしれません。


外は雲も少なく素晴らしいお天気。
_DSC5624

電車まで時間があるので改めて散策しました。
ロッジの周りは牧場ですが、5分ほど歩いたところに小さな町が。

本当にこじんまりとした街で、特に何かあるわけではないのですけれども。
勝手に自分が持っていたイギリスの田舎のイメージとぴったりで、非常に印象深かったです。


迎えのタクシーが来るまでにご主人といろいろ話をしたのですが、
どうもここを訪れた日本人は私が初めてだったみたいですね。
そりゃあびっくりするわなぁ…

夏時期は霧が出る上に空の透明度も悪いので、次は冬の晴れた日においでとご主人が。
また来たいなあと思いつつ、タクシーで帰路に。

行きと同じ経路で滞在先へ戻ります。
一応電車を見てみましたが、まあ三脚なんてないわなぁ…
_DSC5627


どうもWebページによると、Manchester Victoriaという駅に落とし物置き場があるそうで。
_DSC5628
真ん中に「Left LLeft Luggage」と書いてあるので、ここだろ!


と思ったのですが、なんと閉鎖されているそうでorz

向こうにいる駅員に聞け、と言われたので聞いてみると、俺じゃなくてあっちにいる駅員に聞けと。
で、あっちにいる駅員に聞くと、こっちではわからないのでメールか電話で連絡しろと。

はーそうですか、もういいや!
ってことで、諦めました。


後日、出張先の方に電話してもらったり、いろいろ手を尽くしたのですが見つからず。
しかも、メールを送ってから2か月以上経って、日本に帰ってきてから返信が。
怒りを通り越して呆れました。まあ、こんなもんですかね。
落とし物が戻ってくるのなんて日本だけですよねー。

18000円したんですけれどね…まあ仕方ない。



で、結局ほぼ同じUL-104を買ったわけですね。こちらはかなり安かったですが。




どうせまたすぐにマンチェスターに行くだろう、次は冬に行きたいなぁと思っていたのですが、仕事の状況が変わってしまい。
海外出張はコロナ終息後にあるかもしれませんが、もうマンチェスターへ行くことはないでしょう。

ロッジの方々には「闖入者」の私にも非常に親切にしていただき、感謝しています。
イギリスでも猛威を振るっている、コロナが大丈夫であることを祈るばかりです。


海外での星見は常にトラブル続きですが、まあそれも楽しみのうちでしょう。
未知の場所に行くというわくわく感と、そこで待っている風景。
今回は全く情報がない中での遠征でしたから、余計に楽しかったなぁと。




海外はおろか国内も旅行できない状況。
いつの日にか、また海外で星を見たいものですね。



1年前の画像を再処理ーガム星雲

私が住む茨城県は緊急事態宣言が解除されましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
とは言ってもしばらくは外出を自粛せざるを得ない状況ですね。


それはさておき、せっかく時間があったので、昨年うまく処理できなかった画像を
いじっていました。
ナローには慣れていないこともあり、手探りで1週間くらい画像を弄りまわしていましたが、
ようやくそれらしい仕上がりとなりました。

GumLRGB-2


撮影日時:2019.04.29 21h06m26s~ (他1夜)
撮影場所:ニュージーランド・テカポ
レンズ:TAMRON SP 45mm F/1.8 Di VC USD (Model F013)x2
 RGB:F5.6、Hα・OⅢ:F2.8
カメラ:Nikon D810A(RGB, OⅢ)、Nikon D610(HKIR改造)(Hα)
フィルター:Astronomic Hα FFフィルター(12nm)、Astronomic OⅢ FFフィルター(12nm)
露出時間:RGB:ISO12800 3分×20枚
     Hα:ISO6400 3分×73枚
     OⅢ:ISO12800 3分×71枚 総露出時間8時間12分
画像処理:AOO-RGB合成
     StarNet++、TopazDenoize、CCDStack2、StellaImage6.5、Photoshop2020



せっかくのNZ遠征、実は半年くらい前から準備を進めていました。
Nikon用のFFフィルターはドイツから輸入、タムロンの45㎜は新規調達。
まあ、シグマArt50㎜を買えばいいんですが、中古でもそこそこのお値段します。
タムロン45㎜は青ハロはありますが、ナローなら関係ないですからね。
1本3万円くらいでした。

2013年のテカポ遠征の時にガム星雲で最優秀をいただきました。

Hαはともかく、OⅢはほとんど写っていませんでした。
今回はちょっとだけですが、ちゃんと表現できたのは良かったかな、と。

そろそろ新月期ですねぇ。天の川にちょうど良い季節です。
幸いにして田舎に住んでいますから、県を越えるどころか、同じ市内でも天の川は見られます。
途中何処にも寄らず、近場の遠征なら問題ないかと思いますが、
そもそも天気が悪いので、ベランダからの撮影さえままなりません。
SWAN彗星の撮影はしてみたいところですが、このまま梅雨入りですかねぇ。。。



満月と十六夜月

昨日、一昨日と晴れてくれたので月面を狙ってみました。

5/7(満月)
GW後半は雨ばかりでしたが、珍しく透明度の良い快晴。
風が強く、Windyのお告げでもシーイングは悪そうでしたが、せっかくの満月なので撮影を敢行。
狭いベランダから電柱や電線を避けつつ、南中前後に撮影。
シーイングは、、、ですね。。。

6枚モザイクのつもりでしたが、
20200507

つながってないorz(2敗目)

前にも71FLでやってしまったんですよね…
まあ、極軸があっていなかったというのはあるんですが。
写り自体はそこそこでしょうかね。71FLと比べると、光量に余裕がありますねぇ。
補正レンズ系が入っているとはいえ流石反射鏡、すっきりとした見え味でした。

5/8(十六夜)
昼間から風が強く、移動性高気圧がいるはずですがシーイングはあまり良くなさそう。
天気も日没までは問題ないですが、それ以降は崩れてくる予報。

確かに日没後から雲が…
完全に曇ることはなかったですが、薄雲がひっきりなしに。
合間を縫って撮影しますが、ベランダの手すりや電線に遮られるorz
こんなにベランダで撮影するとは思っていなかったですからねぇ。

昨日の反省を活かし、パックンチョにならないように気を付けて。
薄雲があり、イマイチといえばイマイチですが…
20200509

鏡筒:VC200L(直焦点、1800㎜F9.0)
カメラ:ASI533MC Pro(ノーフィルター)
ゲイン:100
露光時間:15ms
撮影フレーム:300枚
モザイク枚数:6枚(PhotoMarge)
画像処理:AS!3 上位50%コンポジット
SI6.5 画像復元 ルーシー&リチャードソン PSF半径 3px
   マルチバンドシャープ
Photoshop 2020

中々VC200Lのポテンシャルを発揮させてあげられませんが、悪条件でも思っていたより写ってくれますね~
月面なら明るさも十分で、余裕を感じました。
もう少し倍率を上げ、モザイク枚数を増やしても対応できそうです。

来週はチャンスがありそうですね、早起き出来たら撮影したいものです。




VC200LセカンドインプレッションーGWは惑星撮影

皆様、GWはいかがお過ごしでしょうか。
本当ならいつも通り北海道へ行くはずでしたが、この状況では出かけるわけにもいかず。
最近流行り?のWeb飲みをやったり、家で燻製をしたりしておりました。
P5060001


それはさておき、前記事でVC200Lの簡単なインプレッションを記事にしました。

GW前半は晴れてくれたので、早起きしたり徹夜したりして木星・土星を狙ってみました。
恐るべき悪さの透明度でしたが、惑星にはそこまで問題にはならず。
機材は前回と同じです↓
鏡筒:VC200L+コンパクトエクステンダーメタル(2.2倍、合成焦点距離3960㎜F19.8)
カメラ:ASI533MC Pro 中央部1280x1024のみクロップ

■5/1早朝
徹夜していましたが、Windyのお告げの通りシーイングはダメダメ
03_38_21_grad4_ap43_Drizzle15_LR8_RS

No filter
Gain:400
Exposure:40ms
Frame:4645
Composite:50%?
Drrizle 1.5x

…まあ、前回よりは良くなったか?


■5/2早朝
相変わらずのシーイング
前日撮影した木星の色がおかしいので、何が原因か調べていると、どうもUV/IRカットフィルタを入れなければいけないことが判明。
ASIのカメラのユーザには常識なのかもしれませんが、通りでホワイトバランスが取れないわけだ。

手元にはUV/IR系のフィルタは存在しないので、仕方なくLPS-P2 FFフィルタを分解してセンサ前面に貼り付けて使用。


03_06_44_grad4_ap42_Drizzle15-2_LS8


LPS-P2 filter
Gain:400
Exposure:45ms
Frame:7083
Composite:50%?
Drrizle 1.5x

ノーフィルターと比べると半分くらいの明るさになった感じですが、木星や土星の色合いはノーフィルターと比較して自然な感じになりました。ただ、ノーフィルターと比較すると、表面の模様が見づらいような気がします。


■5/3早朝
Windyでは割とまともなシーイングの予報。
いつもより早めにスタンバイしていますが、衛星画像を見ると雲が追いかけてきています。
予報では02時には曇ってしまうはずでしたが、何とか04時まで持ってくれました。

前日の成果から、色合いはともかく、LPS-P2を入れることによる光量の低下の悪影響のほうが厄介だと判断、ノーフィルターで撮影をば。
03_32_50_grad4_ap38_Drizzle15_LR6

No filter
Gain:400
Exposure:25ms
Frame:3714
Composite:>50%?
Drrizle 1.5x

これは結構いけてるんでは?
少なくとも、前回の木星風マカロンよりはちゃんと木星になっているでしょう。


ついでに土星も。

03_13_58_grad4_ap13_Drizzle15-2_LR6_MS

No filter
Gain:430
Exposure:60ms
Frame:4166
Composite:>50%?
Drrizle 1.5x

色合いはPhotoshopで気合で補正していますが、流石にちょっと無理がありますね。
表面の模様が良く見えるわけでもなさそうなので、UV/IRフィルタを入れるべきでしょう。

■画像処理
RegistaxやStellaImage6.5を使い、いろいろ試してみました。
一番しっくり来たのはStellaImageの画像復元でルーシー&リチャードソンを使い、
その後マルチバンド・シャープを使う方法
。上の画像は全て同じ方法で処理しています。

参考にしたのはUTOさんの記事。
https://oozoraashiato.blog.fc2.com/blog-entry-100.html

上記リンクでは、PSF半径を1.8に設定していますが、それでは全く利かなかったので半径を6~8に設定しています。
LRparam

PSF半径が大きい時点で元画像のクオリティが低いということなのでしょう。
それでも、弊害が少なく微細な模様が出てきてくれました。

UTOさんも指摘されていますが、最大エントロピー法はピーキーで、惑星のエッジに黒縁が発生しやすい気がしました。


このあと、StallaImageでマルチバンド・シャープを掛けます。パラメータはこちら。
#3のみが効く感じで、おまけで#4を掛ける、といった感じでしたね。
MSparam

ここはRegistaxのウェーブレット変換でもいいとは思いますが、StellaImageのほうが効果が弱めで個人的には使いやすかったです。

この辺はもう少し掘り下げて、記事にしてみようかなと思います。


■気づいたこと
・UV/IRフィルタは買っておこう。
 →別に高いものではないですし、直焦点でも必要ですからね。

・ノーフィルターも撮ってもいいかも。
 →木星は赤外光のほうが模様が見えやすい、はず…
  UV/IRありをRGB、ノーフィルターをLとしてもいいかもしれません。

・ADCはあったほうがいい
 →今回アップした画像よりは低空での撮影ですが、ここまでずれますからね…
AS3

 AS3!の「RGB Align」をONにすると、色ずれを補正して合成してくれますが、間違いなく解像度への影響はあるでしょう。今期は木星も土星も南中高度が低いので、余計に重要かと思います。

・木星は問題なく撮影できる、土星はちょっと…。
 →前回磯じいさんから惑星はちょっと厳しいとコメントをいただきましたが、木星に関しては特に光量不足とは感じませんでした。
 私の作品はともかく、他の方は同じVC200Lや、口径の小さいミューロン180とかで素晴らしい作品を発表していますから。特にUTOさんのMT-160の作品は、流石!と思いましたね~。
http://oozoradigital.web.fc2.com/html/planet/Jupiter/Jupiter.htm

 ただ、土星はGainを400以上にあげなければならず、ちょっと厳しい感じがしましたね。まあ、シーイングさえまともなら、流石に今よりは良くなるかと思います。

 撮影はともかく、眼視では木星も土星も良く見えていたので、正しいVC200Lの楽しみ方は眼視観望なのかもしれません。


■ここまでの総括
VC200Lは「直焦点もやるけど、時々月や惑星もやるよ」という人に最適、という実感です。
惑星のみをガチで撮影するなら、もっと口径が大きく、狭いベランダでも取り回しのいいC11とかC14を選択すべきでしょう。もちろん、お手軽にいくなら、SkyWatcherの180㎜マクストフとか、笠井の20㎝純カセグレン、同じVixenならVMC200Lという選択肢もあります。

逆に遠征+直焦点オンリーなら、コレクターPHとエクステンダーPHを擁するR200SSが良い候補となるでしょう。

VC200Lの魅力は、フルサイズ対応1800㎜、性能の良いレデューサで約1400㎜でも撮影可能、さらにコンパクトで取り回しが良く、惑星もそこそここなすというところなのではないかと。
惑星撮影も楽しいですが、やっぱり遠征して撮影するほうが好きな私にはちょうど良いですね。

このコロナ騒ぎが収まるまでは、ベランダからの撮影を楽しもうと思います。

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