Shooting Stars - 北海道の星空の元で

天体写真を中心としたブログです。

2021年11月

月食遠征詳細

先週の月食の遠征記を書いておこうと思います。

午前は在宅、午後からは半年を。
妻が帰ってくるのを待ち、急いで常磐道を北へ向かいます。

予報的には関東一円は高層雲に覆われる感じ。
あまり北へ行きすぎると逆に曇りそうで、時間的にも仙台以北は行けそうにないので
福島と宮城の県境付近を目的地に設定。
事前に撮影ポイントは目星をつけてあります。


南相馬鹿島SAについたのが14時半前
夕食を買いつつ、予報を確認すると、宮城県に少し入ってからのほうが
天気が良さそうです。

それなら、ということで宮城県山元町へ目的地を決定。
津波の際の避難丘へ向かいました。



避難丘公園はこの一帯に数多くあります。
トイレも駐車場もありますし、見晴らしも良さそうなのでここにしました。


現地到着は15時半。ほぼ快晴の空で、問題なく撮影できそうです。
丘の上まで行かないと、低空の視界は利かないようなので
望遠鏡4台、赤道儀3台、三脚4本を担いで避難丘の上へ…
階段を上るのはかなりしんどい。


機材を展開していると、地元のおっちゃんが話しかけてくれました。
月食狙いだとはわかっていたみたいで、話が早くて助かりました。


VC200Lは今回は眼視専用
直焦点撮影は71FL+E-M5にお任せ、タイプラプス用のZ6Ⅱ
固定撮影のD810Aという機材セット。
_DSC4152


機材を展開し終わり、16時25分くらいに不意に地平線の方角を見ると
もう月が出ています

慌てて71FLで撮影開始、Z6Ⅱ用のスクリプトも動作開始。



ところが、どうもスクリプトの様子がおかしい
シャッターは切れるものの、約5分のWaitがちゃんと効いていないようで
ひたすら撮影を続けてしまいます。

いろいろやっても全部だめで、仕方なく5分に一回、
スクリプトを手動でスタートする
ことに。

まあ、手でシャッターを切るよりはほんの少しだけ楽なんですが、
ほとんど意味はなかったです。
どうもZ6ⅡとDigicamControlの組み合わせは不安定ですね。
Z6Ⅱはインターバル撮影も上手くできないですし、内部処理に時間がかかるのかも…



天気は問題なく晴れており、暗くなるとともに月がどんどん欠けていきます
地元のおばちゃんが走りながらやってきて、挨拶をしたところ月食が目当てとのこと。

せっかくですのでVC200Lと双眼鏡で見てもらいました。
VC200Lには今回新規導入した、賞月観星の原点32㎜を。


このアイピースは八千代牧場でカムイミンダラさんに見せていただいたものです。
手持ちの広角アイピースはLV25mmと謎のプローセル40㎜ですが、
流石にもうちょっとまともなアイピースが欲しいなぁと思い買ってみました。


使ってみたところ、細かいことはわかりませんが
70°の見掛け視界で月が迫力ある見え方。
変な色収差もなさそうで、個人的には文句ない見え味でした。


近所の方からは素敵なリアクションをいただき大満足
食分が50%~75%くらいは双眼鏡のほうがいい感じ。VC200Lはちょっと明るすぎ。
逆に食分が75%よりも大きくなると、VC200Lのほうが迫力十分でした。


食の前半はほぼ快晴。
PB190040

PB190043

ちゃんと処理をすると、ターコイズフリンジが簡単に出てきました
いつもの月食よりはフリンジが出やすかったんですかね?
もちろんホワイトバランスを調整し彩度を上げていますが、
VC200Lの眼視でも見えていたと思います。

_DSC4156

すばるがちょうどよい位置でしたね。肉眼でもバッチリ見えていました。
7x50の双眼鏡だとちょうど2つが視野ぎりぎりで、これまた素晴らしい。


_DSC4158

長時間露光も悪くはないですが、ちょっとインパクト不足ですかね。


_DSC4160

避難丘と最大食分過ぎの月を。一番の自信作ですが、痛恨のピンボケorz
この写真にもう写っていますが、最大食分を過ぎたあたりから雲が

完全にドン曇りにはならないものの、次々と雲が通過して
5分に1回の撮影はさせてもらえません。

結局雲にやられつつ、19時50分に撮影終了。
急ぎ撤収して帰路につきました。



予報的にはダメかと思いましたが、何とか撮影できました。
食の後半も天気が持ってくれれば最高でしたが、贅沢言い過ぎですかね。
スクリプトエラーやピンボケなど、つまらないミスもあり反省点が多い月食でした。

来年は11/8に好条件の月食があるようです。
また気合を入れて撮影したいですね。

ほぼ皆既月食撮影成功

生ものは鮮度が命、まずは結果だけ。

5分+10分


コンタクトシート-002

宮城県山元町へ遠征してきました。前半は快晴、後半は雲の通過が多くあまり撮影できず。
まあ、関東近郊でこれだけ晴れたらいい方なのでしょう。遠征記は後程…

北海道に行ってきました

先週、11/6-8にかけて北海道へ行ってきました。

羽田から帯広空港へ、レンタカーを借りてさらべつカントリーパークへ。


ここは昔カムイミンダラさんやくっしーさんと合宿を行った場所です。


もう10年前ですか、懐かしいですねぇ…


10年ぶりのさらべつカントリーパークでしたが、昔のままの佇まい。
今回はバンガローではなくトレーラーハウスに宿泊しました。


天気予報はイマイチでしたが、それなりに晴れていそうです。
まずは私のお気に入りの大樹町・晩成温泉で風呂と夕食。



カムイミンダラさんに事前に連絡してあったのですが、本日は八千代牧場で観望会が
開かれるとのこと。


現地は晴れているという連絡もいただいていました。
さらべつカントリーパークは曇っていて、予報も良くないのでお邪魔することに。

道中は曇りがちだったものの、八千代牧場まで来ると晴れています。
カムイミンダラさんと合流する前にまずは一枚。
1

ほとんど光害の補正はしていません。流石の空の暗さです。



撮影が終わってから、カムイミンダラさんと合流。
到着してすぐに15㎝EDアポ+双眼でM31を見せていただきました。

その後もM42を中心に、M33や燃える木などを。
M31も素晴らしかったですが、やっぱりノーフィルターのM42が
個人的には一番良かったですね。

天気も良く、想像していたよりもずっと暗い空だったので
撮影も開始。

結局1作品だけでしたが、欲張って追尾+固定+追尾でHαブレンドしたのがこちら。
Track_mean-のコピー_r-rgb2

処理は相変わらずの面倒くささだったものの、何とか地上風景も潰さずに写せて何よりです。
チャンネル減算マスクでも、このくらいHαは炙り出せる気もしますが…
明るくなる前に帰ってしまったので見ていないものの、きっと昼間の景色も素晴らしいのでしょう。


01時くらいになると、雲が一気に押し寄せてきました。
カムイミンダラさんは先にお休みで、その後は主催者のFさんとしばしおしゃべり。

結局ちょっと晴れたものの、ほぼ霧の中のような状態だったので
諦めて撤収しました。


翌日は天候が悪く、星は諦めて十勝港で釣り。
最初にいたポイントは全く当たりがなく、坊主を覚悟しました。
異動して別の場所に行ったところ、何とかワカサギ数匹、イワシ一匹、サッパ?一匹を確保。

唐揚げにしましたが、特にワカサギは骨も柔らかく非常に美味でした。


3日目は帯広へ、六花亭でサクサクパイを食べつつ、
豚丼で〆。飛行機で帰路につきました。


中々北海道まで行く機会もないですが、北海道はどの時期に行っても魅力的です
対面での星見はやっぱりいいものです、また行きたいですね。








(ほぼ)皆既月食をDigicam Controlで自動で撮影する

再来週にほぼ皆既月食があります。
5月にも皆既月食がありましたが、遠征して根性で撮影しました。


8月のペルセウス座流星群は惨敗。
どうも気合を入れると天文現象は曇る傾向があるような。

とはいっても、準備不足は良くないので、5月の皆既月食の時に準備せず
大変だった広角での連続撮影を自動化しようと思います。



■やりたいことは何か

ご存じの通り、皆既月食前後は1/500秒でも飽和するような明るさで、
皆既中は数秒露光しないと写りません。

単純に一定時間間隔で撮影するのは簡単。
カメラ内インターバルタイマーでもできますし、外付けのタイマーでもOK。
ちょっとした露光の違いならブラケットを使えばよし。
被写体が大きければカメラ任せの露光でも何とかなります。

ただ、今回は被写体が小さすぎます。輝度差も大きいので、
自由に露光時間やISO感度を変更して撮影する必要があります。




皆既日食のため、むかーし記事にしていましたね。
この時はLinuxのlibptp2というライブラリを使いました。

ただ、いまさらUbuntuをインストールするのも面倒です。
同じ方法で動作するかもわかりませんし…


■どうやって実現するか
ということで、フリーソフトのDigicam Controlに白羽の矢を立てました。
http://digicamcontrol.com/


このソフトはNikonユーザなら使ったことがあるかもしれません。
純正でテザー撮影ソフトをフリーで提供してくれるCanonと違い、
Nikonは有料なので、代わりに使う方も多いようです。


メインはテザー撮影ですが、スクリプトもサポートしています。
今回はこの機能を使って自動撮影してみようと思います。



■自動撮影のやり方
まずはソフトをダウンロードしてインストールしてください。
https://sourceforge.net/projects/digicamcontrol/files/digiCamControlsetup_2.1.2.0.exe/download


ソフトを起動し、次にカメラをUSB経由で接続します。
自動でカメラが検出されるはずです。
001


接続が成功すると、左上にその時点のカメラの設定が表示されます。Digicam Controlからも変更できますし、カメラ側での設定変更も可能です。
002


撮影前に変更しておいたほうが良い項目は下記のとおりです。
・シャッタースピードはマニュアル(M)
・フォーカスもマニュアル
・手振れ補正はOFF
・長秒時、高感度時のノイズ低減をOFF
・ホワイトバランスは固定(今回は太陽光)


また、Digicam Controlから、左下のTransferを「2. Save to camera only」としておきます。これが「3. Save to PC and camera」になっていると、カメラとパソコン両方に画像が保存され、時間がかかってしまいます。
003


設定が終わったら自動で撮影してみましょう。
ツールバーのPlugin→Tools→Script Executionをクリックします。
004



すると、こんな画面が表示されるはずです。
005


「CODE」欄に下記をコピペしてください。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<dccscript> 
  <commands>
         <setcamera property="iso" value="200"/>
         <wait time="3"/>
         <setcamera property="shutter" value="1/500"/>
         <capture/>
         <wait time="3"/>
         <setcamera property="shutter" value="1/125"/>
         <capture/>
         <wait time="4"/>
         <setcamera property="shutter" value="1/30"/>
         <capture/>
         <wait time="3"/>
         <setcamera property="shutter" value="1/8"/>
         <capture/>
         <wait time="3"/>
         <setcamera property="shutter" value="1/2"/>
         <capture/>
         <wait time="4"/>
         <setcamera property="iso" value="1600"/>
         <wait time="3"/>
         <setcamera property="shutter" value="1/4"/>
         <capture/>
         <wait time="3"/>
         <setcamera property="shutter" value="1s"/>
         <capture/>
         <wait time="5"/>
         <setcamera property="shutter" value="4s"/>
         <capture/>
         <wait time="7"/>
         <setcamera property="shutter" value="15s"/>
         <capture/>
         <wait time="257.5"/>
</commands>
</dccscript>

これは何をしているかというと、
・ISOを200に設定
・1/500秒露光で撮影
・3秒待機
・以下、1/125秒、1/30秒、1/8秒、1/2秒露光で撮影し、3秒ないし4秒待機
・ISOを1600に設定
・1/4秒、1秒、4秒露光で撮影し、3秒~7秒待機
・15秒露光、257.5秒待機

この露光セットなら、月の状態が何であれ、どこかの撮影で適正露光になるはずです。
これを適当な回数コピペすれば、5分に1回の間隔で適正露光で撮影できるわけですね。
今回は4時間分(=48回)コピーしておけば、月出から皆既終了まで撮影できるでしょう。
ループ処理もできるとは思うのですが、どうもXMLのFor分は面倒くさそう。
コピペしたほうが早いと判断しました。


当然ですが、各撮影の間隔はZ6Ⅱに最適化してあります。
2秒インターバルだと誤動作しました。3秒なら大丈夫そうです。
ただ、露光時間が長くなると、待機時間は露光時間を含むので、
例えば4秒露光ならプラス3秒で7秒待機しないと上手くいきません。

待機時間を弄ると、1セットが5分ぴったりにはならないので
15秒露光の後の待機時間を最適化してください。


「Run」を押せば、露光が始まります。
ちゃんとシャッターが切れるか、何秒で終わるかを確認してください。

006


本当はもっとスマートな方法があるのかもしれません。
ただ、Digicam Controlでサポートしている他のスクリプトは上手く動作せず。
Tcl scriptはシャッターは切れるものの、変な動作をしてしまい諦めました。


さて、後は晴れるのを待つばかり、ですね。


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