緊急事態宣言が延長され、なかなか遠征もままならない昨今。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

私が住んでいる茨城県は県独自の緊急事態宣言が出ております。
不要不急の外出自粛で、買い物と散歩以外は会社との往復の日々。
新月期も一切遠征しませんでした

先週あたりから花粉が飛び始めたようで、コロナ関係なく
家から出られない日々が始まります。



とはいえ天気は悪くないので、家で飲んだくれているだけの日々よりは
撮影していたほうが幾分ましなので、何日か撮影していました。

茨城の地方都市とはいえ、それなりに星が見えますが
視界が狭いのと、家の前にある自販機が明るく構図決定に四苦八苦しました。

そこで、最近流行り?のPlate Solvingを試してみました。
中々上手くいかなかったので、備忘録的な意味も込めて書き記しておきます。

※注意事項
私はPlate Solvingの専門家でもなんでもなく、最近導入したばかりの初心者です。
Stand aloneでも使ったことはありませんでした。
記載内容に間違いがあるかもしれませんが、その際はコメントにて遠慮なく
突っ込んでいただけると大変助かります。


◆目的
あまり星が見えない空の撮影で、望遠鏡がどこを向いているか知りたい
座標がわかればよい。GoToはしない(というかできない

◆赤道儀
Skywatcher Star Adventurer赤道儀
→ケンコーのSkymemoSのOEM。1軸モーターなのでGoToは不可能

◆鏡筒
Borg 71FL+7872(288㎜F4.1)

◆カメラ
ZWO ASI533MC Pro(冷却CMOS、カラー、1インチセンサ)

◆撮影ソフト
N.I.N.A(以降、面倒なのでNINAと表記する)
Version1.10 HF1(安定verの最新版)

◆ガイド
PHD2 ver2.6.9
※1軸オートガイド

◆ガイド鏡
Kowa 75㎜F2.5 Cマウントレンズ

◆ガイドカメラ
ZWO ASI120MM₋S


〇Plate Solvingを導入した顛末
SharpCapでガイド鏡+ガイドカメラを「電子ファインダー」として使っていました。
気合でM81&M82は導入できましたが、かなり時間を食ってしまったので
Plate Solvingを使ってみようかと思いました。


〇Plate Solvingとは?
撮影した画像から、望遠鏡が向いている方向を割り出すことです。
星表と撮影画像からマッチングを行うことで算出します。

NINAでは"Primary Solver"と"Blind Solver"を指定しないとPlate Solveできません。
それは、Blind SolverはPrimary Solverと比較すると精度が低いため、
まずはPrimary Solverを使い、バックアップとしてBlind Solverを使うそうです。
(↑公式ではそう書いてありますが、精度が低いってのは本当なんですかね?
 そもそもGoToできないので、ある程度の方向がわかればいいんですが)

Primary Solverとは、望遠鏡が向いている方向がおおよそわかっているとき
Plate Solveをするソフトです。

Blind Solverとは、望遠鏡が向いている方向がわからないとき
Plate Solveをするソフトです。


〇NINAで使えるPrimary SolverとBlind Solver
NINAでは何種類かのソフトをPrimary SolverまたはBlind Solverとして指定できます。
公式ドキュメントでは、一言でいうと「ASTAPを使え」って書いてあります。


ただ、私が使っている最新の安定版NINA 1.10 HF1では
ASTAPの間にバグ?があるらしく、動作しません
詳細は下記に。かなり最近のトピックです。


そのせいでかなりの時間を無駄にしました。
対策として、CloudyNightには星表を入れなおすかベータ版を使えと書いてありました。
動作する保証もないですし、トラブルシューティングは面倒なので他のSolverを使います。

で、ASTAPが使えないとなると、Primary Solverとして指定できるのは
Local Plate Solver、Astronomy.net、Plate Solve2、All Sky Plate Solverのみ。

Local Plate SolverCygwinがどうとかとか書いてあり、
Linuxに詳しくないうえに面倒そうなのでNG
Astronomy.netネット接続必須なのでこれもNG
そうなるとPlate Solve2なんですが、これはBlind Solverとして使えません
"not recommended"らしいですが、消去法でAll Sky Plate Solverを選択。

当然、Blind SolverもAll Sky Plate Solverを使うこととしてやってみます。


〇All Sky Plate Solverのインストール
ここから"Install.exe"をダウンロードします。

All Sky Plate Solver

ダウンロードリンクがわかりにくいですが、下のほうにあります。
名称未設定-1


インストールは普通にできると思うので省略。
初回起動時に下記のメッセージが表示されるので"はい"をクリック。
no title


"Telescope approximative focal length"に焦点距離(mm)を入力します。今回は288㎜なので288と入力。
0.1


ピクセルサイズなどは手動でも入力できますが、FITSヘッダから入力するほうが楽なので
Retrive from FITS fileをクリック
0.2


同じカメラで撮影したFITSファイルなら何でもいいので、適当なFITSファイルを選択。
2



自動でカメラの情報が記入されます。それに伴い、必要なインデックスが黄色にハイライトされます。
4


視野角ごとに準備されているみたいですね、上に行くほど視野角が狭くなり、ファイル数やサイズが大きくなるみたいです。
今回は5個ハイライトされていますね。

"Install indexes highighted"をクリックすると、ハイライトされたインデックスだけが
ダウンロードとインストールされます。
3


下記ウインドウが表示されるので"はい"をクリック。

5


一回目は5個のうち2つがなぜか失敗しましたが、やり直したところすべてダウンロードできました。

インストールが成功すると"Installed"と表示されます。
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"Done"をクリックしてAll Sky Plate Solverを起動します。
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登録するか、と聞かれますが、ここはどちらを回答してもOKです。

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"はい"を押すと、名前とメールアドレスなどを登録する画面が表示されますが、
登録はしなくても使えるみたいなので"いいえ"を押しても問題ありません
私はいいえを押しました。

起動したら、"Settings"から"Plate solver settings"をクリック。

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焦点距離(mm)とピクセルサイズを入力します。今回は288㎜と3.76um。
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"Index installation wizard"をクリックすると、先ほどのIndexの設定画面が開きます。
カメラや望遠鏡の焦点距離が変わった場合はこちらから必要なインデックスを追加します
今回はスキップ。

Location settingsをクリックし、現在地を入力します。

8


これにて設定完了!
All Sky Plate Solverは単体でも動作するので、適当にM81・M82を撮影した画像をPlate Solvingしてみます。
File nameから画像ファイルを指定すると、Plate Solvingが始まります。
Work in progress…のところに処理時間が表示されます。

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今回は10秒くらいでPlate Solveされました
空欄だった左側の"Astrometry results"に座標だけでなく、焦点距離や視野角なども表示されます。
288㎜のスペック値に対し、ちょっとだけ焦点距離が長い(291㎜)らしいですね。
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座標が正しいかどうかはステラナビゲータで確認
もちろん、ソフトはCartes du Cielでもなんでもいいです。
上のメニュー「視野」→「中心座標を指定」をクリック。
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All Sky Plate Solverが導き出した座標を入れてOKを押します。
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すると、ちょうどM81・M82が中心になっています。Plate Solvingは成功したようですね。
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今回はここまで。
All Sky Plate Solver単体の動作は確認できたので、次はNINA経由で動作するか確認します。